LD考(情報の入力)

LD、いわゆる学習障害。教育的には、Learning Disabilities、医学的にはLearning Disordersである。

昔、LD疑似体験というものを見た。大型のスクリーンにものすごくたくさんの情報が見え、その上、横から先生が「ちゃんと見なさ―い!」と言う声が聞こえ、頭の中がパニック状態になったことを覚えている。

 

LDの子にとっては、日常がこのような状況なのだ。

ちゃんと見なさい、聞きなさい、と言われても本人にとってはそれどころじゃない。

 

我々が外界を認知する場合、視覚・聴覚が重要である。つまり目と耳だ。この二つを使い情報をキャッチし、頭の中で思考する。支援の一部であるが、ここでは、どのように情報を子どもに伝えるのか(情報を入力していくのか)を考えたい。

〇視覚からの情報(プリント)

 

真っ先に考えないといけないのはフォントである。多くの文書で使われているのは明朝体である。ただ、この明朝体、LDの子の認知特性からすれば見にくく感じる可能性がある。はねるところや微妙な線の太さ加減等、その文字を一つの情報とすればシンプルではないのである。ところが、UDのフォントやゴシック体はどうだろう。線の太さも一定である。わかりやすく、目に優しく思えるはずである。フォント一つで読める、読めないが大きく変わるのだ。

あともう一つ、私が気になっているのは、よくプリントで使われるざら紙である。私も昔、使っていたから何とも言えないが、ざら紙は、真っ白ではなく、文字と背景である紙とのコントラストが見えにくい。よって紙は白が良いのでは、ということである。

〇聴覚からの情報(音、声)

 

学校のチャイム、外、廊下からの声、筆箱の音…とにかく教室には音が溢れている。それを統制するのは難しい(私も教員だったのでよく分かる)。ただなるだけそうならないように注意することはできるだろう。ドアをきちんと閉めたり、雑音がする時は、作業をさせない等、工夫ができる余地もある。

また、聴覚優位である場合には、これを利用して耳から情報を入れることも有効である。私は、音読時にボイスレコーダーに録音させ、その声を聴かせる時がある。これは別にLDの子に限ったことではなく、どんな子でも効果がある。目と耳、両方から情報を入れることでより深く文章の内容理解を促すことができる。

〇情報量の調整(モチベーション)

 

1枚に何問もあるプリントを見るとそれだけで「あ~も~やだな~あと〇問もある~」となってしまう。なるだけ、そんな時に1枚に1問にしてしまう。そうすると、5問解くと5枚となる。厚みが出る。「こんなに頑張ったよ!」と言葉がけをすることができるのだ。つまり、情報量をコントロールすることで、同時に達成感を味わわせることになる。学習に苦手意識がある子ならばこのような支援はモチベーション維持につながる。どちらかといえば気持ちの面を支援することといったことになるだろう。

支援グッズや教科ごとの学習方法になればもっと書くことはあるが、とりあえず基本的な部分についてまとめてみた。

考え続けることが大切だと感じる。子どもの思考以上に大人が考えをめぐらすことが求められる。