ワーキングメモリ(WM)の力が低い子への問題文の呈示

特性のある子はワーキングメモリの力が低いことが多くあります。

 

ワーキングメモリは記憶を留めながら、情報を操作する機能。

 

さて、そんなワーキングメモリの力が低い子への支援において、特に問題文に対する支援はどのようなものでしょうか。

 

私自身も教えていて感じたのは、まず問題文をこちらが読んであげることです。

 自力で読もうとするだけでも、文字を追うだけで子どもにとっては大変になる可能性があります。

文字は読んでいますが、実際は頭に入っていないのです。この負担を減らすために、まずは大人が読んであげます。

「A君はりんごを5個買いました。B君はリンゴを3個買いました。リンゴは全部で何個ですか。」

という問題を例に挙げましょう。

 

読んであげたとしても、おそらく子どもの頭の中はこのようになっていると思います。

大人が読む

「A君はりんごを5個買いました。B君はリンゴを3個買いました。リンゴは全部で何個ですか。」

子どもの頭の中

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全部で何個ですか。」

 

つまり、最後の部分しか覚えていないことになるのでは、と考えることができます(実際はわかりませんので、イメージを含めて話であることはご了承ください)。

 

情報が入ったと思ったら、忘れてしまう、そういう風に頭の中がなってしまうのです。

では、どうすればいいのか。

 

大人が読む

「A君はりんごを5個買いました。」「りんごが5個だね。」と問題文に線を引きながら場合によっては絵を描く。

「B君はリンゴを3個買いました。」も同様。ゆっくり読み、本人が確認できていることをよく見ます。

 「リンゴは全部で何個ですか。」「全部で、と言っているよ」ここで何算をするのかを少し誘導します。

このように問題文は大人側から言えば書いてあるから理解できるだろう、と思いがちですが、実際はその単語、文脈を理解するのは大人側の言い換え、念押しが必要になるものです。

 

これは国語の問題文においてもそうです。

長い問題文になればなるほど、このような配慮は必要です。

文をまとまりごとに囲む“分かち書き”も有効でしょう。

 

長くなってしまいました。

 

問題文をじっくりと一緒に読む、という単純な話なのですが、このように実際は子どもの身になって考えることが大切なのですね。